アン・サリー『Brand New Orleans』
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アン・サリー『Brand New Orleans』

初のセルフ・プロデュースとなる5枚目のアルバムである。初回限定版は、「懐かしのニューオリンズ」が入ったDISK2 との2枚組であった。

ライナーノーツより

出来上がったこのアルバムを聴いていると、ニューオリンズでの3年間の日々の感触が自然と思い出される。

生まれて初めての海外生活、たった独りでスーツケース一つだけ持って、誰も知る人のいないニューオリンズ空港に降り立った時のこと。夜のむんとした湿気に迎えられ、車の窓から初めて見た暗い町並み。「ここにはどんな人たちが暮らし、どんな音楽が流れ、どんな出会いが待ち構えているのだろうか」、その時の私には想像もできなかったものだ。

そして3年後の今、こうして音楽という形で目の前に形作られたものが手の中にある。音と音の間にはこの3年間の日々の生活の中で見たもの、触れたもの、感じたもの、聴いたもの、震えたもの、その些細な一つ一つがぎゅっと濃縮され閉じ込められているみたいだ。私という微力な一人の人間が、音楽って人間って面白いなあという気持ちに駆り立てられて、一歩一歩いろんな音楽に触れ、人と出会うことで、気が付くと他人行儀だったこの街にも親しみやすい居場所が出来つつあった。

そして、ニューオリンズで生まれ育った彼らの奏でる音一つ一つには、長い歴史の重みがずっしりと刻み込まれていることを少しは感じ取れるようになった。とは言え3年間というのは、彼らの文化そのものを深く理解するには短すぎる時間だったと思う。しかしこの生活の中で少しずつ心の中に芽生え気づいたこと、それは「音楽とは、いかに生きるかということである」ということだったのではないだろうか。このことを今後世界のどこで暮らし、何をしていようとも、忘れることはないだろうし、忘れられないだろうと思う。

  1. Basin Street Blues

  2. Honeysuckle Rose

  3. Since I Fell For You

  4. アフリカの月

  5. When You're Smiling

  6. Lazy River

  7. Sweet Georgia Brown

  8. Untill It's Time For You To Go

  9. I Know

  10. Way Down Yonder In New Orleans

  11. 胸の振子

  12. Bogalusa Strut

  13. What A Wonderful World