■クリスマスの夜に思うこと
| | 医者は患者さんの治る能力を助けているのであり、治してあげているわけではない。風邪ですら特効薬というものは無く、症状を和らげる対症療法で自然治癒の過程を助けるのみである。それにしても、人間の体には「自分の体を生かす」ためのあらゆる能力が潜在していてるのだなぁと、日々医療に携わりながら驚く。もしかしたら、ある人が「死にたい」と思ったときに、そう思っているのは体の臓器の一部である脳の、また一部分である「意識」という領域がそう思っているのであり、実は無意識を含む体のその他ほとんどの部分は「生きたい」と思っているのかも知れないと思うと、「死」という選択肢を選んでしまうことは、本当に自分という全存在が望んでいるのかどうか疑問に思えてくる。 たとえば、けがをしたとき、自分の体は血を流し、傷を治すための反応が傷口ではひたすらに行われる。そういう自分の体を「生かすため」の反応のしくみは、現在人間には全て解明することができないでいる神秘的なものだ。とてもいとおしいことだと思う。だから、そんな神秘をたくさん抱えている自分を、もっといとおしんで、大切にしてもいいのだと思う。 | 2006/12/24 | |